初版 ぼく語辞典

旅ではない、旅行でもない、移動の記録。【九州移動 前日譚】

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「月日は百代の過客にして、行きかふ年もまた旅人なり」(松尾芭蕉『奥の細道』)

 あるいは、

「私は常に思つてゐる。人生は旅である」(若山牧水『独り歌へる』)

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人生はしばしば、旅に喩えられる。

人生は旅行というよりも、旅であるらしい。
人生、なんて大きな言葉に重ねられるくらいだから、『旅』にもまた安易には捉えきれぬ何かがある。雲を掴もうとするように、近づきすぎれば見失い、遠ざかればその大きさに圧倒されるような。

『旅行』はそれに比べれば、少し俗っぽいというか、近しすぎるというか、まあこれは個人の偏見であるが。

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セブンイレブン化する思い出。

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留学を終えて帰国したのち、僕が育った青森市に帰省をしている。

 

僕は基本的に年に2~3回ほど、地元に帰る。夏季および冬季の大学の長期休暇に合わせてだ。

そしてその地元へ戻るたびに、気が付くことがある。
セブンイレブンの店舗数の拡大だ。

青森県にセブンイレブンが初上陸したのは2015年6月12日。
全国的に見ても非常に遅い、45都道府県目の出店であった。

僕が大学に入学したのは、2015年4月。僕が地元を出ていく時点では、まだセブンイレブンは街に存在していなかった。

 

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とりとめのない、とりためたもの【欧州編②】

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入り口(クロアチア・ザグレブ、2017年12月)

クロアチアの首都ザグレブにて。

境界には不思議な力を感じる。門、鳥居、暖簾etc...くぐることで、気持ちがシャキッとさせられるような気がすることがある。

ここには、真っ白な扉と、大胆に広がった木の穴。
いずれもどこか特別な目的地へ誘うための境目でもないが、実益性がないにも関わらずそこにある分、つい足を止めて、気を引かれてしまう。

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サラエボへと向かう道(ボスニア・ヘルツェゴビナの山道、2017年12月)

クロアチアのザグレブから、バスでボスニア・ヘルツェゴビナの首都であるサラエボへと向かう。途中ずっと山道を行くことになる。車中からの景色は、常に壮大だ。

大きな山が見えてくると、近くの席の少年らが「マウント・フジ!マウント・フジ!」とふざけるようにはしゃぎ出す。おそらく日本人の僕がいたからだろうが、富士山の名前がこの辺り(バルカン半島)でも知られているようであることに驚く。

僕が日本人だからというよりは、アジア人を見て適当にアジアの知っている山の名前を出しただけの可能性も高いが。

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鳴り響くあのメロディー(クロアチア・ドゥブロブニク、2018年1月)

ドゥブロブニクの城壁内を適当に散策していると見つけた石の階段。

反射的に上りたくなる。デッケデッケ……ドラゴンクエストの階段を上る効果音を頭の中で鳴らしながら。

現在のすっかり立体的な映像となったドラクエも臨場感があって面白いが、2D時代もいまだに色あせない。

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狛猫(クロアチア・ドゥブロブニク、2018年1月)

何とも規則正しい並び。
よく見ると、尻尾の位置まで左右対称になっている。規則正しすぎる。

ドゥブロブニクは街中のあちこちに猫がいる、猫好きにはたまらない場所だろう。

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MajiでKoiする5秒前(クロアチア・ドゥブロブニク、2018年1月)

年明けをのんびりと壁際で過ごす1匹の猫。
その視線の先には………。

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カナかな?(セルビア・ベオグラード、2018年1月)

セルビアの首都ベオグラードにある日本食店。

中で働くのは現地の人々だが、店内は非常に凝っている。
メニュー1つとってもそれが分かる。

一瞬、「あれ、日本語のメニューあるんだ?」と思ったがよく見ると英語。
もはや暗号のようですらある。

読み辛い文字もところどころあるが、この遊び心に感服。ラーメンの味も大満足。

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かくれんぼ(クロアチア・ザグレブ、2018年1月)

再びザグレブ。

目玉観光スポットの一つ聖母被昇天教会。
その裏をよく観察してみると……発見。
見つかっちゃったと観念した、無邪気な坊主の可愛げのある笑顔。

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Majiで盗られる5秒前(フランス・パリ、2018年1月)

ルーブル美術館周辺でのんきに写真撮影。
逆光を浴びる被写体は、知らない観光客。

この1分後くらいにこの場でスリに遭った。上着のポケットに入れていたスマートフォンを撮られた。その時は犯人が現行犯逮捕されて助かったが、ルーブル周辺及びパリには窃盗犯が非常に多いので、油断するなかれ。

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おしどり夫婦(フランス・パリ、2018年1月)

シャンゼリゼ通りにて。凱旋門近く。

左のポストが右に寄り添うように立っている。
そもそもポストがこんな近距離に2つも必要なのだろうか。どの夫婦もそうであるように、この2台にも知られざる馴れ初めストーリーがあるに違いない。

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韋駄天(フランス・パリ、2018年1月)

パリのポンピドゥー・センターにて。

疾風の如く駆けていくピクトグラム。
風と共に走る姿はまさに韋駄天。
この施設が要求しているであろう走行速度に、果たして僕は有事の際に応えられるだろうか。

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カラフル(ドイツ・ヴァイル アム ライン、2018年1月)

ドイツ・フランス・スイスの3国の国境に際する街、ヴァイル・アム・ライン。

人工的な色と自然の織り成す色の、カラフルコラボレーション。

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パーティーカクテル効果(ドイツ・フライブルク、2018年1月)

あだ名が「あべべ」であるがゆえに、壁面の落書き「ABB」に視線が思わず反応。
が、よく見れば、おそらくこれは「ABR」ではないだろうか。
それはそれで何なのか、むしろ気になるが。

とりとめのない、とりためたもの【欧州編①】

撮るには撮ったものの、どこにも載せずお蔵入りした写真がある。

ブログに載せようにも、Instagramにアップしようにも、それ単体ではストーリーを編めるほどの力を持たぬものたち。

それでもせっかく撮ったのだし、ただのデータとしてPCの中で腐らせてしまうのも、なんだか勿体ない。そんなわけで今回、些細な取るに足らない風景を、改めて集めてみた。

音楽のB面集を聴くような感覚で、ゆるゆるとお楽しみください。

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ヘイ・ヤー(ラトビア・スィグルダ、2017年9月)

自衛団?楽隊?いずれにしても愉快。
地図を持たぬ散歩では、こういう出会いが時々あるからなかなかやめられない。

 

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祈り(ラトビア・スィグルダ、2017年9月)

彼にできることは、ここで祈ることだけ。

ある日は雨乞い、ある日は祖国の恋人の無事、ある日は半永久的な自身の生涯を呪う。

その日の天気や季節で、表情も変わって見えてくる。

 

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開花(ラトビア・リガ、2017年10月)

雨の日の、ラトビア大学・人類学棟の1階。

傘立てというものがなく、みな入り口に傘を開いて置いていく。

新鮮な空からの水を浴びて、花々が彩り豊かに静かに咲き誇っている。

 

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余韻(ラトビア・リガ、2017年10月)

リガ市内にある公園にて。

アヒルたちのもう半身は、どこの次元に消えたのか?

不在が却って、何もない空間の存在感をありありと際立たせる妙。

 

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宵の浸食(ラトビア・リガ、2017年10月)

夕暮れ時の西の空が綺麗だなあと思いながら目線を下ろすと、

夜の闇の侵攻が、既にこっそりと始まっていた。

 

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四面楚歌(ラトビア・ツェースィス、2017年11月)

北欧の秋は短い。11月上旬にはもう葉っぱは大方落ちてしまい、冬の気配が日に日に強まる。
冬の暴威前線に抗うように、儚く小さな紅葉がひっそりと生き残っている。

 

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0.5里霧中(ラトビア・リガ、2017年11月)

突然の濃霧。30mも離れると何も見えなくなってしまう。

この深い霧を抜けると、いつの間にか見知らぬ土地に……という誰でも妄想できるような展開を頭の中で期待するが、不幸にも橋を越えると無事に目的地の図書館についてしまった。道のりが、目的地にもまさって重要になる日がしばしばある。

 

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成長期(イギリス・ロンドン、2017年11月)

誰しもみな幼少期がある。気になるあの子にも、ふてぶてしいおっさんにも、昔はあったんだ。そこに居るだけで愛でられるような、可愛いらしかった時代が。

しかしそれも永遠とは続かない。いつかは誰もが成長する。必ずしも可愛いままではいられない。それはピカチュウだってそうなのだ。今はサトシの肩に乗っているが、いつかは彼も自立しなくてはならない。多分。

 

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効果線(オランダ・バーグ、2017年12月)

何を強調するでもないが、ベンチを構成するラインが長々と伸びている。

欧州各国各町に必ずあるもの。ポスト、標識、トイレのピクトグラム……そしてベンチ。比べて見てみるのも面白い。

 

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一軒家(ラトビア・リガ、2017年12月)

猫も一軒家を構える時代だ。
キッチンなし、シャワーなし、トイレなし、ただし家賃は0€。
部屋を探している猫がいれば、ぜひ教えてあげよう。

 

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迷子2本(ラトビア・リガ、2017年12月)

果たしてどこからやって来たのか。林の中に、コンクリートの小さな柱が2本。
もともとここに何か設備があったのか。どうしてこの2つだけが取り残されたのか。周りを自然に囲まれて、寂しくなかろうか無機物たち。1本だけでなくて良かった。寄り添っていれば、少しくらいの寂しさも紛らわせられるだろう。

 

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討ち取り(ラトビア・リガ、2017年12月)

「一番首獲ったぞー!」

高々と掲げられる首。その表情は何を意味しているのか。

「イロイロあったが、まァ、悪くない人生だったんじゃねェの?」

 彼が最後にそう達観して、諦めゆえの満足とともに昇天したことを願う。

つくばエクスプレス沿線をスケボーで滑ると何が起こるのか。

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つくばエクスプレス沿線を完歩してから1年半後。
2017年の春。

スケートボードを知人からいただいたぼくは、新しいおもちゃを買ってもらった子供のように無根拠にわくわくしていた。

いてもたってもいられず、板を抱えて外へ飛び出す。
気が付けば、相も変わらずこの場所に来ていた。

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この場所、そう「TX(つくばエクスプレス)つくば駅」である。

 

どこか遠くに行きたいと思う時は、いつもここからのスタートだ。

果たしてどこまで行けるだろうか。
この衝動的なエネルギーは、どれだけの距離分秘められているのだろうか。
午後0時10分。再び、つくばエクスプレス沿線を進む移動が始まった。

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つくばエクスプレス沿線を完歩すると何が起こるのか。(結論編)

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つくばエクスプレスをご存じだろうか?

かくかくしかじかの事情でその沿線を完歩することにしたぼくは、つくば駅から出発して、秋葉原駅へと向かっていた。

果たして、85kmに及ぶ道のりを歩き終えたとき、ぼくの中にどんな感情が芽生えるのか?

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つくばエクスプレス沿線を完歩すると何が起こるのか。(道中編)

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つくばエクスプレスをご存じだろうか?

秋葉原駅とつくば駅間を結ぶ私鉄であり、現在東京からつくば市へ最速で行ける手段であるとともに、つくば市に唯一通っている鉄道でもある。

ところがこの運賃がなかなか高い。少なくとも我々学生にとっては高い。

確かに東京とつくば市の間を最短45分で結ぶ速さは魅力的だ。
しかし、運賃に選択肢がないのだ。普通列車も快速列車も大人はみんな一律1190円(ICカード利用で1183円)なのである。

 

この世には2種類の人間がいる。

 

つくばエクスプレスの料金は高い。

「それなら、歩くか。」と思う者とそうでない者と。

 

幸か不幸か、ぼくは前者であった。

調べてみたところ、つくば駅から秋葉原駅までは、最短距離で歩いて約60km。

「まあ、でも、せっかくならつくばエクスプレス全駅寄っていきたいよね」

とつい考えてしまうぼくもいる。確かにそちらの方が達成感がありそうだ。その場合何kmになるかは分からないが、そう大差はないだろう。どのみち沿線だ。

思い立ったが吉日。

行くしかねえ!!


果たして電車賃1190円を払うのと、徒歩で行くのとではどちらがお得なのか?

そして、つくばエクスプレス沿線を完歩すると一体何が起こるのか?

 

つくば駅発、秋葉原終着。

つくばエクスプレス沿線全20駅を巡る徒歩旅行の始まりだ。

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