初版 ぼく語辞典

ゴッホ「The Stevedores in Arles」感想:ティッセン・ボルネミッサ美術館蔵

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フィンセント・ファン・ゴッホ作「The Stevedores in Arles」。
マドリードのティッセン・ボルネミッサ美術館に収蔵されている一枚です。

ヨーロッパに留学に来てから、西洋絵画への関心が深まったのですが、
その中でも特に惹かれたのがゴッホでした。

 

ゴッホの作品の中には、基本的に特段超越的な物が描かれているわけではないんですよね。
色彩や筆遣い、うねるような表現という非常に個性的な画風に対して、描かれている主題はあくまで日常にそくしたものばかり。

ぼくらが日頃見逃してしまうようなあまりに日常的な光景が、生き生きとした特別な姿として力強く映し出されるゆえに、ゴッホの作品には魅力を感じるのです。

 

今回ティッセン・ボルネミッサ美術館にて出会ったゴッホの作品は、夕暮れのアルルの川岸の風景。

これもまた、毎日繰り返されているかもしれないような日常的な風景ですが、大胆な色彩とその変化によって印象的なものとして映ります。

水辺が主題の絵画ですが、水と言われて連想する青色が、作中では全く使われていません。空の色も然り。

それでも驚いたことに、これが川辺を描いていることは、一目でわかります。大胆な筆遣いながらも捉えるべきところはしっかりと捉えて、水辺を表現しています。水面に映る影や、川岸の船の印象による効果が大きいのでしょうか。

 

ゴッホは、黄色という色を好んで用いた画家。
彼の生み出す作品はその温かみのある色によって、鑑賞していると、包まれるような暖かな雰囲気が感じられます。写真のようなリアルな描写でなくとも、まるでこの場面の中に直接いるかのような「空気感」を覚えるのです。

 

こちらの作品が収められているティッセン・ボルネミッサ美術館は、マドリードの中でも有数の人気美術館。ぜひ訪れてみてください。

では!

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