初版 ぼく語辞典

スペイン屈指の人気ミュージアム!ダリ劇場美術館の感想と行き方

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20世紀絵画史の巨人の一人、スペイン出身の画家「サルバドゥール・ダリ」。

シュルレアリスムの代表画家で、強い色彩と不思議なモチーフにより、摩訶不思議だけれど調和のある独特の絵の世界を生み出した人物です。

 

そんな彼の巨大な世界観を具現化したような美術館が、「フィゲラス」という彼の生まれた小さな町にあります。それが「ダリ劇場美術館」。

 

なんと都市部ではない立地にも関わらず、スペイン国内で「ソフィア芸術センター」「プラド美術館」に次ぐ入場者数を誇る大規模な美術館なんです!

さらに、世界の美術館の入場者数ランキングでも、52位だから驚きです(2015年)。*1

 

芸術家ダリによる、遊び心満載の芸術テーマパークへ、ぜひ迷い込んでみましょう!

 

 

概観と写真

個人経営の商店やレストランが立ち並ぶ中、突如現れる異様な建物。f:id:ABBshu:20180702191652j:plain

ダリ劇場美術館の外装。

卵。外壁。人形。球体。すでに日常的な物のとらえ方では対処できないような、何かがオカシイ雰囲気が出ています。この大きくて立派な建物は、入る前から何が起こるんだろうと存分にわくわくさせてくれます。

 

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いざ入場すると、入ってするの中庭でまず現れるのがこのモニュメント。早速謎ですね。

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中庭の窓には、建物の外装にも並べられていた人形たち。

 

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家具の組み合わせによって人間の顔にみえるユニークな作品。
ダリが理想とした女優「メイ・ウェスト」の顔だそう。

 

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階段を上がってからの、次の階の入り口も人間の顔のように。
眼の中をよく見てみると……怖いわ。

 

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大きなものから小さなものまで、どこを歩いても、どこを見ても、ダリの作品の中にいるかのような、個性的な展示が施されています。

 

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絵画の枚数は決して多いわけではありませんが、見たことがあるような作品も収蔵されています。
上の絵は1943年に描かれた「アメリカの詩」。アメリカの人種問題を揶揄していると言われている一枚です。

他、妻のガラをモデルとした作品が多数展示されている印象を受けました。一例として、次のような作品が。 

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ここは「風の宮殿」と呼ばれる壮大な天井画が描かれた広間。
ダリとその妻ガラが、共に天井を支え合っているという作品。
ダリは妻に大変夢中であったようで、この作品からも2人の関係性の強さや輝きが感じられます。

 

ここまであげてきたものは、展示品のほんの一例。

が、これだけでも他の「美術館」と呼ばれる施設とは異なる雰囲気が感じられたのではないでしょうか。

 

美術館の感想

文脈なく珍品のように置かれていては、B級スポットのようにもなりかねないような、
奇々怪々、摩訶不思議な装飾や展示の数々。

しかし美術館全体として見たときに、B級ではなく、遥かに洗練された場として、この美術館は存在しているように感じられました。

 

その理由として、この施設自体が、あたかも1つの作品のように存在しているからだと思います。

ダリ自身もこの美術館の設計に深く関わっていますし、彼の作品には度々同じモチーフが用いられるので、それによっても統一感が醸し出されているのでしょう。

 

「サルバドゥール・ダリ」という大きな大きな枠組み・土台の上に、数々の展示が成されているという印象を強く受けました。

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彼の絵画の中には、非常に多種多様なものが裏にある主題の暗喩として描かれています。

正直予備知識なしで行くと、「全く意味が分からない……」、「何が何だか理解できない……」、ということもしばしば。
それでいて作品には、魅力的な色彩と、圧倒的な画力によって、「この裏には何かが隠されているに違いない!」と思えるような説得力があります。

 

作者の眼から世界はどのように見えていたのか。何と何が重なり合って見えていたのか。ダリの絵を見ていると、不思議で広大な彼の「世界」にまさしく飛び込んでしまった感覚に襲われます。

 

10進数を使うぼくらにとっての「10」が、6進数使用者にとっては「14」であるように、同じものを見ていても人によって捉え方・物事の脳内での翻訳の仕方は様々です。

ダリの世界ではまさしく、ぼくらの想像とは別次元の事物の捉え方が存在するようで、その未知さに非常にわくわくさせられます。

例えば、死や恐怖の象徴としての「蟻」や「イナゴ」。例えば幼少期の本人。例えば美術館の概観にも現れているような、卵や人物。

同じ主題や暗喩が繰り返し用いられることで、まさしく「ダリ」という1つの世界が在るように思えるのです。

 

そんな「ダリ」の世界を絵画から広げて、3次元世界に置き換えて生まれたのが、まさにこの美術館。最高の知的遊園地でした。ここは、比喩ではなく文字通り、ダリの世界観の中に迷い込める場所なのです。

 

自分の思考に基づいた日常から離れた世界を訪れてみたいという方は、まるでテーマパークに遊びに行くような感覚で行けると思います。

 

バルセロナからの行き方

ダリ劇場美術館へは、バルセロナからのアクセスが便利です。

バルセロナの「Barcelona Sants」駅出発の電車の乗り、「Figueres」駅で降ります。

電車はおよそ30~1時間おきに出ています。
チケットの料金は12~16€です。

 

詳しい時刻は、グーグルマップに上記2つの駅間の経路を表示するか、下記のサイトからご確認ください。Departureに「Barcelona(ALL)」、Destinationに「Figueres」を入力すると検索結果が出てきます。

www.renfe.com

 

〈Barcelona Sants駅の場所〉

 

 

Figueres駅に着いた後は、1キロほど歩くと美術館に到着です。

 

おわりに

いかがでしたか?

バルセロナまでお立ち寄りの際は、ぜひ旅行の計画に入れてみることをおすすめします。

では!